16脳動脈瘤の治療については開頭クリッピング手術と、カテーテルを用いたコイル塞栓術といわれる方法があります(図1)。それぞれの方法にメリット、デメリットがあり、当院では患者様にとって適切と思われる方法を選択しています。
図1;動脈瘤内にコイルを入れているところ(模式図)
今回はコイル塞栓術に使われるコイルについてご説明いたします。
1)現在使用されているコイルは、そのほとんどが離脱式コイルといわれるものです。コイルは必ずデリバリーワイヤーというコイルを動脈瘤内に送り込むためのワイヤー(針金のようなもの)の先に接続されています。カテーテルの中にこのデリバリーワイヤーの先に付いたコイルをいれていき、動脈瘤にコイルが入ったら、手元にある装置で、このデリバリーワイヤーに電気を流したり、水圧をかけたり、ロックを外すことでコイルが離され、動脈瘤内にコイルだけが残るようになっています。
2)コイルの素材ですが、主なものは白金をベースに、タングステンなどを混ぜた合金でできています。形は2D(平面上になるもの)、3D(立体型になるもの)、線状のものがあります(図2)。非常に多くのコイルの種類が販売されていますが、動脈瘤の形や大きさなどによってこれらを使い分けます。
図2;コイルの種類
3)新しいコイル;次世代コイルとして、Matrix(マトリックス)coilとHydroCoil (ハイドロコイル)というものがあります。これらはコイル塞栓術の欠点である、再発率が多い(約15-20%)ということを減らすためにできたものです。Matrixは表面に瘢痕化(かさぶた)が起きるような物質を塗っています。Hydrocoilはコイル表面に吸水性ポリマーがコーティングしてあります。血液中で水分を含むことにより次第に膨隆してくることで、動脈瘤内に血液が入る場所をなくし、再発や破裂をしないようにするためのコイルです(図3)。
図3;次世代コイル(Matrix coilとHydroCoil)
(参考文献;脳動脈瘤血管内治療のすべて;根來 眞 監修;MEDICAL VIEW社)
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